【Youtube動画紹介】Youtuberモノマネ系Youtuberから精神崩壊ゲー実況者まで おもしろ動画5選【暇つぶしにどうぞ】
今日も懲りずに動画紹介。
元々ブログ始めた思惑ってこういうことだった気がする。
相変わらずジャンルごっちゃですが、そのうちジャンルに括って記事を書こうかなと思っています。
- ①inliving. りりかさん 無印良品 商品紹介 モノマネ【インリビング】
- ②パラレルワールドの商品紹介動画
- ③【映画紹介】『スイス・アーミー・マン』をレビュー【浅井ラム】
- ④【ジョジョの奇妙な冒険】 空条徐倫 メイク & コスチューム
- ⑤【深層web】 SAD SATAN 実況プレイ 【精神崩壊ゲー】 Part1
①inliving. りりかさん 無印良品 商品紹介 モノマネ【インリビング】
投稿者:タスク
内容:YoutuberやTikTokerをモノマネする系Youtuberのタスクさん。inliving動画がオススメで出てきた際に一緒にオススメされた作品。芸コマなところが面白く、悪意のないディスりなどと言われています。
まずこの動画をみた後に、概要欄にあるURLから本家も見てみてほしいです。
ちなみに衣装はガムテープ、マイクはUSBコード。
②パラレルワールドの商品紹介動画
投稿者:ARuFa
内容:ケームケームクンパッツの紹介動画です。
視聴時間が長くなるほど発生する脳の混乱をお楽しみください。
(私は高校生の時からこの人のブログを購読しております。)
③【映画紹介】『スイス・アーミー・マン』をレビュー【浅井ラム】
内容:ニコニコで伝説のB級映画レビュー動画を投稿していた浅井ラム<旧知的風ハット>さん。現在ニコニコの投稿動画は削除されており、Youtubeでの活動を再開。この方、語彙力やツッコミが天才的+映画への愛がすごい方なのでクソ映画なのに本編が面白そうに感じるから不思議。もちろんこの動画を見た後にスイスアーミーマンを見ました。
④【ジョジョの奇妙な冒険】 空条徐倫 メイク & コスチューム
投稿者:天照 EVE
内容:コスチューム、メイク、小道具やCG合成まで全て完璧にこなせる天才。DIYで部屋の大改装を一人で行ったりしている方です。メイク動画でこの方を知りましたが、同じ人間だとは思えない存在です。
ジョジョは見たことありませんが、イラストは見たことがあり、本動画のクオリティを見て大変驚愕した記憶があります。他にもディズニーやマーベル系なども投稿されているので投稿動画一覧からご覧ください。
⑤【深層web】 SAD SATAN 実況プレイ 【精神崩壊ゲー】 Part1
投稿者:Tatta
内容:Lain実況を検索していて出てきたこの方。アメリカで話題になった激ヤバゲーのクリーンバーションもプレイされていたので気になって投稿動画を見てみたら出てくる出てくる精神崩壊ゲーの数々。ゆめにっきやLSDはもちろん、単発でも結構な数の実況を投稿されています。Vaporwaveも好きなようで、単発実況でいくつかエモいゲームを紹介されています。
※ホラー系苦手な方はご注意を(特に音量)
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【Youtube動画紹介】今更聞けないエヴァ解説からオカマとオネエのドン勝まで おもしろ動画6選【暇つぶしにどうぞ】
GWいかがお過ごしでしょうか。
いろいろ勉強しようと思いつつ、ついみてしまうYoutube。
今回もいくつか動画を紹介しますよ。
基本的に「時間が潰せる」チャンネルをピックアップ。動画から他の投稿動画を巡ってみることをおすすめします。
今回からチャンネルに飛べるように投稿者の部分をリンクにしています。
- ①新世紀エヴァンゲリオン 独自解説1/5 シンジは何をしにネルフに来たのか? Neon Genesis EVANGELION
- ②元自衛隊員が米軍の戦闘糧食を食べてみたら!驚きの連続・・The SDF personnel ate ration MRE of U.S. forces.
- ③二年目狩猟生活(その52)
- ④最強の天才、ニコラ・テスラにまつわる都市伝説!
- ⑤やかましい男によるケララカレーの作り方
- ⑥オカマとオネエでPUBGやったらドン勝出来たwwwwwww
①新世紀エヴァンゲリオン 独自解説1/5 シンジは何をしにネルフに来たのか? Neon Genesis EVANGELION
投稿者:守鍬 刈雄のお暇なら映画でも
内容:劇場版しかみたことなかったので、アニメ版を一から解説してくれている動画。
色々と解説動画は見てきましたが、「実はこう」と言う情報が多く、細かくしっかりと解説してくれているので理解しやすいです。
まだ2までしか投稿されていませんが、1本1時間以上あるので、見ながら次の投稿を待てます。笑
2019/5/5 全ストーリーの解説が完了しています。長めですがしっかり理解できるのでよかったです。
またこの方は色々な映画の解説/考察動画を出しているので、今まで見てきた映画の振り返り、もしくは本編を見るまでもないけどどんな映画か知りたい方へオススメのチャンネルです。
②元自衛隊員が米軍の戦闘糧食を食べてみたら!驚きの連続・・The SDF personnel ate ration MRE of U.S. forces.
投稿者:『トッカグンの東京サバイバル』
内容:2018年9月の北海道地震の時から防災術を中心に見始めたチャンネル。今となっては毎日何かしらループで再生してしまうほどどハマりしております。
出演する二人は宮城県出身の元自衛官。今は吉本所属の芸人のようです。
この方の動画で特徴的なのが「各国のレーション食べてみた」動画。今までアメリカのレーションや日本の自衛隊飯はみたことがあったものの、中国や韓国、ロシアなど今までみたこともなければ存在すら知らなかった糧食をみて、実際に食べている様子を確認できます。
他にも非常食などのレビューをしているので、備えのために買いたいけどどんな味なのか確認したい方にはオススメのチャンネルです。
また、サブチャンネルもあるのですがそちらでは「もらったもので生きていく」と言うタイトルコールの元、視聴者からの「差し入れ」を食べると言うほのぼのした動画になっています。北海道民としては東北訛りがホッとする、リラックス動画になっています。
③二年目狩猟生活(その52)
内容:日本の本格サバイバル動画といったらこの人しかいないだろ、とも言えるカメちゃんことカメ五郎。
ニコニコ動画で投稿されていたものを見ていましたが、Youtubeにも進出しておりました。
この方の動画といえば何と言っても「ヤラセ0の超過酷サバイバル」。
ジビエ(鹿)を狙って山の各地に罠をかけ、取れるまでは野草やキノコを食べてしのぐ。持ち込み調味料は味塩のみ。
モザイクなしの鹿の解体はショッキングながらも「命をいただいて生きること」を突きつけられます。
また、鹿の毛皮も自身でなめし、サバイバル道具としたり過酷ながらロマンも感じられる動画になっています。
カメちゃんは時々テレビにも出演している様子。
※生き物の解体にモザイクがないので、グロ注意
④最強の天才、ニコラ・テスラにまつわる都市伝説!
投稿者:Naokiman show
内容:Youtubeでオカルトといえばこの人、ナオキマン。独特の喋り口調が癖になるこの方、学生時代をアメリカで過ごす帰国子女。時折見せる英語の発音にも注目です。
何よりオカルトの提供情報量がすごい。アメリカの文献を引っ張ってこれる分、日本にはない情報が出てくることも。毎回だいたい下ネタが挟まっているので、家族の前でみることはオススメしません。
※ホラー画像がいきなり出てくることがあるので、怖いものが苦手な方もご注意を。
先にコメント欄をのぞいておくと安心かもしれません。(いつ怖い画像が出るかわかるので)
⑤やかましい男によるケララカレーの作り方
投稿者:世界の皿さんぽ
内容:本棚食堂として始まったやかましいインド人(?)によるカレー動画。
独特ながらなんとなくインド人の特徴を感じる話し方が癖になります。本人はそこまで人気になることを予想していなかったようで、同時にだす静かな動画にも「インド人はよ」といったコメントがつくようになってしまい、動画タイトルにはNo Yakamashiとつくほど。
本人も動画コンセプトを分けるべく、最近本棚食堂とは別にこの「世界の皿さんぽ」を解説。
逆に静かな動画が好きな方は本棚食堂をオススメします。
⑥オカマとオネエでPUBGやったらドン勝出来たwwwwwww
投稿者:ホロ酔いさん。
内容:なんだかTwitterで話題だったらしく、オススメに出てきて見たら爆笑した動画。PUBGやApexなどのFPS実況をやっている方で、投稿者は北海道の方と言うので親近感。なんともゴールデンエッグスを彷彿とさせる話し方と、独特の言葉のセンスが光る。
ゲーム実況者として有名な方のようで、見知らぬ人とのVC(ボイスチャット)で名前を出すと「まじか!!!!あのホロ酔いさん!?」となっていることも。この方の外人と一緒にやるジェンガ(ハンドシュミレーター系)の動画も大変笑わせていただきました。
10連休の方も、お仕事の方も、息抜きにどうですか。
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【Youtube動画紹介】おっ○いから狂気まで おもしろ動画8選【暇つぶしにどうぞ】
起きてから寝るまで、仕事以外の時間はずっと何かしらの動画を見ている私が、最近面白いと思った動画をご紹介
紹介して大丈夫かわからないギリギリの作品もあるけど、暇があったら見てみてほしい。
- ①おっぱい談義【コメ付き】
- ②スネイプ先生、ゾンビランドサガにハマってしまう
- ③ASMR Dog Reviewing Different Types of Food #4 I MAYASMR(ワンコにいろんなもの食べさせてみたASMR)
- ④ビートルズも使った、この世界のバックドア、LSD
- ⑤欠片と切迫の音声記録、東京地下鉄サリン事件・・・PART1/7・新
- ⑥I Put 100 Million Orbeez In My Friend's Backyard(オービーズを友達ん家の庭に大量に撒いた)
- ⑦田舎でよく聞く鳥の鳴き声をEDMにしました(ハトの鳴き声)(キジバト)
- ⑧Baaa【閲覧注意/グロもしくは生理的嫌悪あり】
①おっぱい談義【コメ付き】
投稿者:六丸の工房
内容:いきなりぶっ込み。外国語の吹き替え風の話し方でおっぱいについて熱く語る。語彙力と吹き替えレベルが高くて思わず見入ってしまう。ちなみにMCは巨乳派。
②スネイプ先生、ゾンビランドサガにハマってしまう
投稿者:六丸の工房
内容:ハリーポッターの吹き替えと見せかけて、ゾンビランドサガが覇権アニメだと言い張るスネイプ先生の語り。
スネイプ先生はそっくりなのにハーマイオニーの声が野太くて草。この投稿者は他にもモノマネシリーズをやっているので面白いと感じたら他の動画を視聴することをオススメする。ゾンビランドサガは途中で視聴やめたけどこの動画は楽しめたのでアニメ見てなくても楽しいはず。
③ASMR Dog Reviewing Different Types of Food #4 I MAYASMR(ワンコにいろんなもの食べさせてみたASMR)
投稿者:Mayapolarbear
内容:サムネの真っ白もふもふわんこがいろんな野菜や果物、肉を試食する動画。
ASMRなのでわんこの咀嚼音多め。大体食べることに驚き。わんこかわいい。英語だけど特に読まなくてもわかります。
④ビートルズも使った、この世界のバックドア、LSD
投稿者:シラフ知らズ
内容:ドラッグ紹介シリーズ。きになるけれど突っ込んで調べるのもはばかれてきたドラッグの世界にどっぷりと。
エモい音、文章と共にドラッグの危険度や作用について紹介しています。一本5分程度なので、サクッと見れるはずなのに、なぜか重い動画。
⑤欠片と切迫の音声記録、東京地下鉄サリン事件・・・PART1/7・新
投稿者:シラフ知らズ
内容:あの地下鉄サリン事件発生当時の警察無線を字幕付きでわかりやすく編集した事件風化防止シリーズ。
警察で公開していること無線音声みたいです。事件の緊迫感、現場の生々しい状況が人の声だけで伝わってきます。
他にも国内や海外の大事件をまとめた動画あり。
⑥I Put 100 Million Orbeez In My Friend's Backyard(オービーズを友達ん家の庭に大量に撒いた)
投稿者:MrBeast
内容:いわゆる海外のやってみた動画。庭(主にプール)に大量のオービーズ(水で膨らむビーズ)を撒いて、庭をいっぱいにしたいと言う動画。
アホなことやってはしゃぐ青年たちを見ながらなんだか若いことへの懐古心をもつ。ちょっと面白そうだけどこれ処理どうするんだろうと思う。
⑦田舎でよく聞く鳥の鳴き声をEDMにしました(ハトの鳴き声)(キジバト)
投稿者:バーバパパ
内容:秀逸なCG映像とともにかっこいいEDMが流れる動画。途中鶏の生首が4つ手裏剣みたいに回りながら降りてくる映像を見て、下の動画を思い出したのである。(影響受けてると思う。)
⑧Baaa【閲覧注意/グロもしくは生理的嫌悪あり】
投稿者:cyriak
内容:サムネでお察しいただけるように、最初はかわいいヒツジちゃんがだんだん怪物になっていく動画。頭が交互にいろんなところから生えてきたり、胴体が増殖したり。まさに狂気的と言うにふさわしい作品。
この方は結構有名で、トラウマ動画とかでたまに流れてくることがあります。ゆめにっきやゲームのLSDを彷彿とさせる雰囲気には引き込まれつつ、嫌悪感を持つ方が多いのでは?
気になったらぜひこれよりひどい動画(褒め言葉)があるので、投稿動画一覧から見てみてください。
面白かったらいいな。
【アニメ/漫画レビュー】凄いのになかなか知名度が上がらなくて悔しい メイドインアビス つくしあきひと著
メイドインアビス 新品 1-7巻 全巻セット
オススメ度:★★★★★
ジャンル:冒険ファンタジー
この作品を見たきっかけ
通っている美容室に置いてあった漫画がきっかけ。
独特のロリっぽい絵が若干手に取りにくい作品だったものの、美容師の方から内容を絶賛され読むことに。
その時は2巻くらいしか読めず、暫くしてNetflixでアニメ鑑賞、そしてわざわざ美容室から本を全巻借りて読破しました。笑
大まかな解説<ネタバレあり>
深淵とも言えるほどの深い穴(アビス)のある孤島が舞台の本作。
主人公は孤児院で暮らす一人の少女、リコ。
島の中央に空いた穴には、遺物と呼ばれる人工物が遺されており、ものによっては世界を変えるレベルの効用をもたらすものもある様子。
それらを発掘しながら穴の底を目指す冒険家は後を絶たないが、一定の深さに潜るとそこから戻ってくる(上昇)時に体の不調が出てしまう。(アビスの呪い)
あまり深いところまで潜ってしまうと上昇負荷が重く、死に至ることもあるという。
そんな危険の多いアビスに冒険に出てから戻っていないリコの母親を夢見るリコ。
いつか母親に会うためにアビス深層部へ行くことを目指す。
ある日孤児院の仕事で遺物を発掘に出かけたリコは、未知の技術で作られたロボット少年のレグと出会う。
彼は記憶を失っており、リコから「アビスの底から来たんじゃないか」と言われてアビスに興味を示す。
そんな2人が力を合わせてアビスの底を目指すが…
作品を見て感じたこと
漫画
とにかく絵が綺麗です。イラストレーターであるつくしあきひと氏は元々同人誌として本作を出す予定だったとの事。
そのため、1シーン事の絵が物凄く丁寧で世界観に引き込まれます。
ちなみに、同人誌予定だったということもありフェチ表現が多いことも評価を上げます。
ロリ、男の娘、百合など…漫画の中表紙もなかなかハードな嗜好が詰まっています笑
キャラクターの幼さは確かに若干抵抗感がありますが、イラストに反して結構現実的だったり、グロテスクなシーンも多いためデフォルメ的な意味であのイラストがぴったりであると言えます。
そしてストーリーが思ったより作り込まれており、大人が読んでも色々と考えさせられることが多いです。
癖のあるキャラクターと、絶対に屈しない主人公リコのやり取りを見ていると、思わず親の目線でリコを見てしまい感情が揺さぶられることも…
アニメ
どのくらい原作に忠実かという部分がアニメの評価に大きく係わってくると思いますが、メイドインアビスはほぼそのままです。
若干のアニオリはありますがストーリーに変化を及ぼすことも無く、更に作品を引き立たせるような内容のため、見ていて違和感はありませんでした。
また、アニメは音楽、効果音、シーン演出などがほかのアニメに比べてもかなりレベルが高く、毎話映画を見ている感覚に陥らせてくれます。
個人的な感覚としては音楽とのマッチングもあり、アニメの方がより世界に入り込めると感じました。
グロテスクシーンもしっかり描写してくれるところも◎でした。
どんな人に向いているか
ファンタジー好きな人、ジブリ好きな人(特にラピュタやナウシカ)、グロテスク平気な人、ロマンあるストーリーが好きな人
監督の他の作品
漫画は無し
アニメ
迷家-マヨイガ-(ナナキデザイン)
※原案やデザインの為レビューは無しです。
この作品が観れるのは
メイドインアビスが見れるのはNetflixとアマゾンプライムビデオ、Hulu、U-NEXTなどです。
(割とほとんどのストリーミングサービスで視聴可能)
ネタバレありのYoutube解説動画
岡田斗司夫さん
このブログでは毎度出てきますが、アニメや漫画を語らせるとこの人を超える人がいないんです。本当に。
この作品のどこがすごいのか、ということをわかりやすく説明してくれます。
【映画レビュー】犯罪は条件反射で抑止できるのか? 時計じかけのオレンジ スタンリー・キューブリック 監督
時計じかけのオレンジ [ マルコム・マクダウェル ]
オススメ度:★★☆☆☆
ジャンル:社会風刺/政治批判
- オススメ度:★★☆☆☆
- ジャンル:社会風刺/政治批判
- この作品を見たきっかけ
- 大まかな解説<ネタバレあり>
- 作品を見て感じたこと
- どんな人に向いているか
- 監督の他の作品
- この作品が観れるのは
- ネタバレありのYoutube解説動画
この作品を見たきっかけ
2001年宇宙の旅、シャイニングに続きスタンリー・キューブリック作品に興味が出たこと、2001年宇宙の旅の解説を書いたことでふと思い出し、レビューついでに観てみようと思ったのがきっかけ。
上にもある通り主人公の顔がなんとも不気味でなかなか手が出なかった作品。
大まかな解説<ネタバレあり>
大まかにいうと、社会に振り回される青年の喜劇的作品
この映画は終始主人公のナレーションで進行します。過去を振り返った回想という感じですね。
性と暴力、薬物に溺れる15歳の青年が仲間に足をすくわれ刑務所で罰を受け、特別な精神治療(ルドヴィコ療法)を受けて予定より早く出所できたものの、今まで関わってきた人からも報復され、自殺を図るも死ねずに最後には政府の管理下に置かれることになる。(本人的には申し分ない生活である様子)
軽くいうとこんな感じなのですが、観ていて重たく感じることがほとんど無く、喜劇的な演技表現であるのが幸いして辛さは全く感じませんでした。
性的内容と暴力シーンは多いものの・・・
序盤のやりたい放題を尽くすシーンではレイプ、リンチ、喧嘩などが次々と出てくるのですが、女性の丸裸は出てくるものの、実際のエログロシーンは出てこないので現代作品に比べれば全然ショッキングではないんですよね。
しかし、当時は何年も上映禁止になる程の反響があったらしく、R指定の上のX指定(17際未満閲覧禁止)がされていたこともあるとか。
1970年代当時はかなり物議を醸した作品の様です。
「時計仕掛け」は精神治療×2で時計が一周した。もしくは、完全に管理社会の餌食になったことへのメタファーなのか?
題名の「時計仕掛けの」という言葉の意味は諸説ある様なのですが、例えば
食べ物であるオレンジを機械にしてしまったらそれはもうオレンジとは言えない全く別物だ=主人公は精神治療の効果や政府に管理されることにより全く違う人間になってしまったのでは、という解釈や
時計をこの映画の展開に当てはめて「やりたい放題」→「完全な抑制」→「やりたい放題」と24時間経過、時計が一周回って元に戻ったという解釈もある様です。
作中オレンジも時計も特に出てこないので、ストーリー的な意味合いがあるんだと思いますが、一通り映画を見終わってから今一度考えてみると面白いと思います。
作品を見て感じたこと
キューブリックならではの無機物に対する映像美が、人間の汚さを助長する
今回も安定の映像美、圧巻でした。
作中何度か出てくるミルクバーは、テーブルやオブジェが女性の裸のマネキンで、映像が完全な左右対称のシーンによく映えていました。
そして登場人物の衣装も全身真っ白で、帽子だけが黒、というその背景にマッチする様な映像で、このシーンはポスターで欲しいと思ったレベルです。
また作家の自宅に押し入った時のインテリア、主人公の自宅などいちいちキマった背景が、すごくかっこいいんです。
その背景の手前で動くキャラクターの演技があえてチープであることでよりコントラストの効いた映像になっていました。
ルドヴィコ治療のシーンではまぶたが閉じられない様に器具で目を強制的に開ける様にするのですが、無機物な機械と、主人公の目玉が生身感を助長し衝撃的な画になっていました。
近未来の時系列ではあるものの、別次元のお話?
舞台は近未来ということなのですが、作中の麻薬入り牛乳を振る舞う「ミルクバー」や、キャラクターの異質すぎる服装や髪型、独特の若者言葉「ナッドサット言葉」、精神治療の「ルドヴィコ療法」の信ぴょう性などから別次元の世界の話なのではないかな、と感じさせます。
所々でナチスの映像や衣装が目に入ったり、キリスト教についてのシーンがあったり、今の世界に共通する表現もあるので、多元宇宙的な世界(今住んでいる世界と似ているけれど少し違う世界)と考えてみるとまた違った面白さがありますよ。
結局精神状態は変わっていないんだよね・・・?
ルドヴィコ治療によって主人公は性と暴力の自主的行為を行おうとすると吐き気と苦痛に襲われる様になり、また治療中たまたまかかっていた主人公が大好きな曲を聞くと死にたくなるという状態になります。
しかしこれはあくまでも条件反射的な治療なので、主人公の基本的な精神状態は変わっていないんですね。
実際に実験成果をお披露目するシーンでも女性の裸に手を伸ばしそうになったりしていますし、殴り返したいけど吐き気に耐えるくらいなら殴られた方がマシというナレーションから本当はやり返したいと思っていることがわかります。(多少の精神的抑制もあるとは思います。)
結局人間の反射だけを完全に操っている状況で、犯罪率は抑止できるかもしれないが根本治療になっていないのでは?という疑問が残りました。
実際に、出所後仕返しをされて自殺未遂をして入院した病院では回復治療を行うのですが、そこではすぐにこの反射は回復し、元の主人公に戻った様に見受けられました。
その後、最初にルドヴィコ治療を提案した博士がやってきて主人公に甘い言葉(このまま主人公に死なれると自分の立場がなくなるので「今後一生何不自由ない世話をするから世論操作に協力しないか」ということを言った)を掛けられ、その時の主人公の顔は最初のシーンで見た凶悪な顔に戻っていました。
どんな人に向いているか
レトロ好き、性暴力に嫌悪がない人、スタンリーキューブリック好き、現代美術好きにはオススメです。
ただ、本作は社会風刺や政治批判要素がかなり強いので、好き嫌いが分かれやすい作品だと思います。
監督の他の作品
【中古】 シャイニング 特別版 コンチネンタル・バージョン /スタンリー・キューブリック(監督),ジャック・ニコルソン,シェリー・デュヴァル 【中古】afb
レディープレイヤーワンにネタとして結構大きめの枠を使っていると聞いて見たのがこの作品。
人里離れたホテルの管理を冬の間受け持つことになった一家が、不気味なホテルでとんでもないことになる作品。
この猟奇的な写真は誰もが見た事のあるパッケージだと思います。
ホテルの薄気味悪さ、謎のキャラクター、だんだんと狂っていく主人公。
ここでも映像美は健在です。双子ちゃん可愛い。
2001年宇宙の旅決定版 (ハヤカワ文庫) [ アーサー・チャールズ・クラーク ]
私はキューブリック監督に出会った初めての作品。
初回は最初から最後まで「?????」となって解説を見まくってようやく事の顛末かわかり、神映画だと思った経緯があります。
何と言っても1960年代に撮影されたとは思えないほど美しい宇宙の表現、CGを全く使っていないのにここまでできるのか!と感心すると思います。
当時人類が宇宙や未来技術に対して思い描いた幻想をそのまま映画化した様な、これこそSFと言った内容になっています。
解説記事はこちらへ
この作品が観れるのは
U-NEXT、Hulu、アマゾンプライムビデオです。
ネタバレありのYoutube解説動画
守鍬 刈雄(すぐわ かるお)さん
この方は映像をそのまんま言葉にして解説してくれる方で、画面にメモをしながら話をするのですが、ラジオ感覚で音声だけ聞いていても十分面白いです。
この方はルドヴィコ治療に関して治療を受けた成果がまるで「日本人」の様だと表現していました。
社会に監視されて生きている様な、やりたいことを抑制して生きているという様な感じですかね。
岡田斗司夫さん
本作については33:10〜
元ガイナックスの社長さん。豊富な知識をもとに色々な雑談を踏まえて解説を行ってくれる方です。
この回ではいくつかの作品を紹介しているので、気になる作品があれば通しで見て見てくださいね。
なお、ニコニコ有料会員の方は裏放送で「2001年宇宙の旅」の解説も見ることが可能です。こちらもかなり面白いですよ。
前の記事
【映画レビュー】考えるな、感じろ・・・ 2001年宇宙の旅 スタンリー・キューブリック監督 アーサー・C・クラーク著
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント 2001年宇宙の旅 【DVD】
オススメ度:★★★★☆
ジャンル:SF
この作品を見たきっかけ
SFといえば2001年宇宙の旅、と前々から各メディアでチェックはしていたものの、古すぎて最近まで観る気がしなかった作品。
去年、たまたま契約しているAmazonプライムビデオで見れるようになっていたので気軽に再生ボタンを押したのです。
始まりからラストまで、今まで感じたことの無い衝撃を受けることになるとはこの時はまだ思ってすらいませんでした。
大まかな解説<ネタバレあり>
2001年宇宙の旅は、ズバリSF美術映画
ストーリーは一回見ただけではまるで理解が出来ませんが、それでも画面に釘付けになってしまうのは、監督の究極的なセンスと画のこだわりがあってこそでしょう。
この映画は大変長い作品で、休憩を含めて2時間44分あります。
作りとしては3部構成になっています。
三部構成の内容
1.人類の夜明け
絶滅しかけていた猿人が、木星からの「モノリス」によって「武器を使って敵を倒す」という知性を得る。
時代は変わって2001年、高度な文明を得た人類は月で発見された「モノリス」の導きによって木星に向かうことに
少しずつ人間のような意志を持ち、混乱の中船員を次々に殺めていく「HAL9000」
なんとか生き残ったは船長だけ。船員には知らされていなかった本当のミッションが発覚し、たった一人の船員を乗せて木星へと進む宇宙船。
3.木星 そして無限の宇宙の彼方へ
木星にたどり着くと同時に世界の理を一気に見せられた船長。
ようやく地上が見え、降立とうとするとすでに宇宙船は高級そうな豪邸に着陸していた。
またしても「モノリス」の導きによって宇宙の概念的存在となった船長は、「スターチャイルド」として地球に戻って来る。
物語が賛否両論なワケ
この作品が「難解」と言われる理由についてですが、結論から言うと「説明が一切ない」からです。
当初は、きちんと各シーンに対し解説などが施されていたのですが、スタンリー・キューブリック監督が解説を挟むことにより映像美と、独特のミステリアスな雰囲気がなくなる、とか解説を入れることによりそれぞれの解釈で見てもらえなくなる可能性から全ての解説をカットされています。
というか、解説無しで3時間近くあるのに、解説を入れたらどれだけ長くなってしまうのか笑
難解とされたストーリー部分については公開とほぼ同時に発売された小説を読むことで解消されるようになっているようです。(もしくは解説サイトや動画を確認)
恐ろしいほど美しい映像
この映画の見所はなんといってもCG技術の全くないこの時代(1960年代)に現代でも十分通用するような美しい情景が多数見られること。
宇宙船、船内のデザイン、船外活動用ポッドなど現代で使用しても全く不自然でない物がたくさん出てきます。
SF好きにはワクワクが止まらない映画です。
なお、この映画に出てくる宇宙食はNASAが実際に開発していたり、登場するコンピューターの設定や画面はIBMが協力をしていたりと、その時代の最先端をゆく企業が力を注いだこともあってよりリアルに、精巧な宇宙空間が演出されています。
★驚愕ポイント
まず最初の20分、人間が一切出てきません。(言葉すら出てこない)
あれ、見る映画間違えたかな?と思ってもとりあえず30分耐えてください笑
最初はアフリカのようなシーンなのですが、監督が大の飛行機嫌いでアフリカに行くことができず、スタッフをアフリカに派遣して風景写真を撮って持ち帰らせ、わざわざ巨大なセットを作ってから映画の撮影を行ったとか笑
よく見て見ると確かに背景はスクリーンに映しているので若干ぼやけていたりします。
そこも踏まえて映像をチェックすると序盤20分も結構楽しいですよ!
SF~・・・SFはどこだ~・・・と禁断症状が出始めたあたりで、超有名なあの曲(ツァラトゥストラはかく語りき)が流れて、SF世界に移り変わります。
時代があまりにも一気に変わるので別の映画を見ている気分になると思います。
先ほども書きましたがここで登場する機械やインテリア、iPadのようなものまで現代にも通用するようなもので大変驚きました。
本人確認は声紋認証ってところも最近話題のSiriやアレクサなどを彷彿とさせますね。
宇宙船や船外活動で宇宙服とヘルメットを着用しているシーンではヘルメットの中で聞こえる船員の息遣いと、酸素ボンベから空気が送り込まれる音がBGMになっていて緊張感がダイレクトに伝わって来たり、宇宙のシーンでは「空気がない」という演出で無音になったり、かと思えば不穏な人の声(「うぅ〜」という声が何重にも重なったような声)や不協和音っぽい音楽?はやたらと音量が大きくて映像の美しさも相まって不安になったり。
気落ちしているときに見ると頭がおかしくなるかもしれないので気をつけて下さいね。
後半の木星にたどり着いた際の世界演出では、人間世界から高度な木星人世界の概念的なものを一気に見せられるシーンがあるのですが、BGMも合わさって若干PSの有名ゲーム「LSD」や「ゆめにっき」的な不気味さを感じさせます。
「インターステラー」も似たような場面がありましたね。(5次元の世界に行く時の描写)
作品を見て感じたこと
自分の目を信じてとりあえず一回見るのがオススメ
この作品で出てくるHAL9000という宇宙船内蔵のAI(人工知能)がいるのですが、このAIが命じられた命令と実際の職務との間に起きる矛盾に苦悩し、混乱し、「死にたくない」という意志から人間にとって大変恐ろしい展開になる訳ですが、これは2018年に発売されたDetroit BecomeHumanにも通ずる切なさがあり、AIに対し同情を覚えました。
また、人類は自らの能力で進化してきたのではなく、宇宙人(異星の生命体)によって強制的に進化させられてきた、宇宙人の繁栄の為に進化したという設定が本作でよく活かされており、宇宙人の存在は画として全く出てこないのにたまに出て来る「モノリス」という黒い物体だけでかなり大きな存在としてそこにいるという感覚が映像から伝わるというのが物凄い技術だと思いました。
この映画、まずは1回頭を空っぽにして見て欲しいです。
その上で「?????」となった頭を解説動画やWebページで補っていき、2周目の鑑賞で全部腑に落ちて「あ~!こういうことか」となって欲しいです。(絶対もう一度見たくなる。)
解説が必須の映画ではありますが、最初の視聴で受けた衝撃は、恐らく一生頭に残るでしょう。
どんな人に向いているか
SF好き、スタンリー・キューブリック好き、オカルト好き、美術好き、動画制作関係に興味がある方は3時間あっても見ていて苦にならないと思います。
無重力の表現、人工知能との会話シーン、宇宙生命体の表現は目を見張るものがありますよ!
監督の他の作品
スタンリー・キューブリック監督はかなり有名な映画をいくつか制作しています。
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント 時計じかけのオレンジ 【DVD】
この題名は誰もが一度は聞いた事が有るのではないでしょうか。
私は内容の解説しか見ていないので実際の映像は未視聴なのですが、内容的には本能的に生きることと、理性的(社会に管理されている理性)に生きることの対比を描いている作品。
内容的には結構過激で風刺的なのですが、出て来る映像の印象が重たくないので見やすい作品のようです。
近々視聴したら感想を記載しますね。
2019/2/24
早速視聴したのですが、解説通り確かにグロテクスな表現や過度に性的な表現はありませんでした。
キューブリックらしい美しい映像に、人間の汚さが相まって大変コントラストの効いた社会風刺映画だと思いました。
結局、汚さで世界は回っているのだ、ということを痛烈に表現した作品。あとおっぱい映画。
【中古】 シャイニング 特別版 コンチネンタル・バージョン /スタンリー・キューブリック(監督),ジャック・ニコルソン,シェリー・デュヴァル 【中古】afb
レディープレイヤーワンにネタとして結構大きめの枠を使っていると聞いて見たのがこの作品。
人里離れたホテルの管理を冬の間受け持つことになった一家が、不気味なホテルでとんでもないことになる作品。
この猟奇的な写真は誰もが見た事のあるパッケージだと思います。
ホテルの薄気味悪さ、謎のキャラクター、だんだんと狂っていく主人公。
ここでも映像美は健在です。双子ちゃん可愛い。
この作品が見れるサイト
2001年宇宙の旅が見れるのはアマゾンプライムビデオとHuluです。
ネタバレありのYouTube解説動画
有名な映画だけあって解説動画も幾つかあるのですが、中でも私の気に入っているわかりやすい解説動画をご紹介しますので、もし気になったら見てみてくださいね。(長いのでお時間のある時にどうぞ)
守鍬 刈雄(すぐわ かるお)さん
この方は映像をそのまんま言葉にして解説してくれる方で、画面にメモをしながら話をするのですが、ラジオ感覚で音声だけ聞いていても十分面白いです。
ほかの作品では映画を一本観れてしまうほどボリュームのある解説もされているのですが、2001年宇宙の旅に関しては30分ほどの解説になっています。
投稿動画にはスタンリーキューブリックの他作品の解説や、手書き紙芝居解説などもあるのでよろしければ観てみてくださいね。
岡田斗司夫さん
元ガイナックスの社長さん。豊富な知識をもとに色々な雑談を踏まえて解説を行ってくれる方です。
この動画では裏放送(ニコニコチャンネル会員限定動画/有料)でしか2001年宇宙の旅の詳しい解説が見れないのですが、他のキューブリック作品の解説はこのままユーチューブで観れるので気になったらぜひどうぞ。
【小説レビュー】普通だと思っていたあの人も・・・ ポイズンドーター・ホーリーマザー 湊かなえ著
ポイズンドーター・ホーリーマザー (光文社文庫) [ 湊かなえ ]
オススメ度:★★★★☆
ジャンル:オムニバス(ミステリー要素有り)
作品を手に取るきっかけ
母が買った小説を私に読むように勧めてくれた、「ポイズンドーター・ホーリーマザー」
湊かなえさんの作品は 読んだことがなく、「告白 (双葉文庫) [ 湊かなえ ]」という作品で有名な人だよなーという感覚しか持ち合わせていませんでしたが、今回のこの作品を読んで衝撃を受けます。
とにかく、心理や言動描写がリアル。
本当にあったことなのではと思ってしまうくらいの没入感を味わいました。
本作の大まかな説明/所感
誰もが言葉にせず持っている憎悪をうまく表現した作品
短編オムニバス6編からなる本作は主人公が全て女性で、特に母と娘の関係を描くものが多いです。
1作品ごとの区切りで読めば活字が苦手な方でも比較的読みやすい短編集。
最後の2作品だけは直接繋がっているお話でした。
母から見た娘、娘から見た母。
姉妹の待遇の格差、しかし見方を変えればオセロのように関係が一変する。
男を汚らわしく扱う描写が多いのも湊さん特有のものなのでしょうか?
二股、不倫、暴力、ストーカーなど、出てくる男性にまともな人が少ししか出てきません笑
それとも本作を「女の心理」メインで書くために敢えてそうしているのかもしれませんね。
若干推理小説のような展開や、思わぬ伏線回収があり、大好きな星新一先生を頭の片隅に思い出しながら一気に読み進められました。
読み終わったら嫌な気分になるミステリーをイヤミスと言うようですが、湊さんはその中でも「イヤミスの女王」とよばれているとか。
確かに、爽快な気分には到底なれない読後感でした。
文章に関しては口語文が多く、事情聴取シーンが何度か出てくるため話を聞いている感覚で読めて堅苦しい文章が苦手な方にも読みやすいと感じました。
また、愛憎劇とまではいかないものの普段覗けないような心の奥底、優しさが毒となる瞬間、親の扶養に入っている子供が「自分一人では生きていけないことが分かっている」からこそ親に逆らえないという部分、さらに子供にしか依存できない親の気持ちまで見えてきて、
自分の過去に類似した点もありかなり心に刺さる作品でした。
ちょっと嫌味が多い人や説教型のクレーマー味を感じる
そういえば、登場キャラクターが話したり、思ったりする表現を見ていると思わずクレーマーを思い出してしまいまったんですよね。
自分の意見は正しい、(クレームをつけた)商品の為を思ってやっているんだ。
という発言がそのまま作中に滲み出ているためかと思います。
「娘のために、正しいことをしている」
「娘の将来を思って、厳しくしなければいけないのだ」
そういう気持ちを過剰に持ってしまった母親と、その押し付けに近い気持ちを受け取る娘が湾曲していく様が見ていてなんとも不気味でした。
しかしこれ、結構な勢いで人が死ぬ作品ですね。
他のもこんな感じなのかな…?
少年漫画のようにサクサクではなく、それぞれにかなり重い理由が積み重なった上での結果だと把握できるくらい、一人一人のキャラクターに厚みを持たせていることにもこの方のストーリーの作り込みを感じられます。
母子家庭や毒親持ちには辛いかも
テーマとして、母子家庭で母親がしっかりしようと思うあまりに心を病んで娘にあたってしまう描写や、毒親(もしくは毒娘)という内容にも遠慮なく強烈にリアルな描写とともに話が進んでいくので、実際にそういう家庭に今いる方に関してはちょっと読んでいて辛いものがあるかもしれません。
とにかく心理描写やセリフがリアルで、本当にそこに登場人物が生きて、考えて喋っているような感覚に陥ります。
そこに自分の家庭や家族が重なってくると、読み進めるのがきつく感じる方もいるかもしれませんね。
かく言う私も母子家庭、登場人物に思わず自分を重ねてしまうこともありました。
母がこの本を勧めてくるのもかなり謎だったのですが、
恐らく母自体もそういうことがあったのでこの気持ちを共有したいということだと思います。
でも、ある意味負の連鎖が続いているようでそれはそれで怖いという笑
入門としてのオムニバス小説
私は新しい著者の本を探すとき、複数人で書いているオムニバスをよく買っています。
お試し版というように、いくつかの作者の書籍を短編で試すことにより「自分に合った」作風を事前に把握できるからです。
文庫であればそうでもないのですが、ハードカバーで読むには失敗が怖い時もありますよね。
生粋の本好きであれば、ある程度好き嫌いせず読むのだと思うのですが、それでも私は金銭面的に躊躇してしまうことも多いです。
今作は1著者のオムニバスではあるものの、例えば著者の作風をずっと読み続けるのが辛い場合でも短編集であれば1作品ずつ区切って読めるので負担が少ない、と考えられます。
湊かなえさんについて
元々小説家を目指していたわけではなく、アパレルメーカー→青年海外協力隊でトンガへ→帰国して家庭科教師→結婚し子供が生まれて「自宅でできる新しいこと」として執筆活動を開始、その後数々の賞を取ることになったという方のようです。
また、人物描写がしっかりしている点については湊さんが「どんな脇役にでも履歴書を作る」ことを徹底しているようで、履歴書を作ればキャラクターが勝手に動き出すので、その中からストーリーをピックアップして書いているとのこと。
昔から空想好きというのもあって、湊さんの頭の中では人間観察をして、その観察日記を書いているような感覚で執筆しているのかな、と感じました。
ゆえにリアルさが際立つのだと。彼女の目の前には実際にキャラクターが存在して、生きているようなものですからね。
他の作品/オムニバス作品
私はまだ湊さんの他の作品を読んだことがないので、私が検索して面白そうだなと思ったもの、あとは今回のようにオムニバスで読みやすそうと感じた作品を紹介いたしますね。
私が買う可能性も高いので、もし今後以下作品を読んだ際には紹介文の投稿とともにここの作品表示も変更したいと思います。
もし興味があれば一緒に読んでみましょう。
豆の上で眠る
・長編作品
・ミステリー
・失踪した姉が戻ってきたけど妹だけが本物なのか?と疑問を持つところから始まる
・イヤミスならではという作風
望郷
・オムニバス作品
・6編編成
・ミステリー度は低い
・ドラマ化した
・著者の故郷を舞台にした作品
・人間関係の陰鬱さ描写がすごそう