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【映画レビュー】考えるな、感じろ・・・ 2001年宇宙の旅 スタンリー・キューブリック監督 アーサー・C・クラーク著


ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント 2001年宇宙の旅 【DVD】

 

 

オススメ度:★★★★☆

ジャンル:SF

 

 

 

この作品を見たきっかけ

SFといえば2001年宇宙の旅、と前々から各メディアでチェックはしていたものの、古すぎて最近まで観る気がしなかった作品。

去年、たまたま契約しているAmazonプライムビデオで見れるようになっていたので気軽に再生ボタンを押したのです。

始まりからラストまで、今まで感じたことの無い衝撃を受けることになるとはこの時はまだ思ってすらいませんでした。

 

 

大まかな解説<ネタバレあり>

2001年宇宙の旅は、ズバリSF美術映画

ストーリーは一回見ただけではまるで理解が出来ませんが、それでも画面に釘付けになってしまうのは、監督の究極的なセンスと画のこだわりがあってこそでしょう。

 

この映画は大変長い作品で、休憩を含めて2時間44分あります。

 

作りとしては3部構成になっています。

 


三部構成の内容 

1.人類の夜明け

絶滅しかけていた猿人が、木星からの「モノリス」によって「武器を使って敵を倒す」という知性を得る。

時代は変わって2001年、高度な文明を得た人類は月で発見された「モノリス」の導きによって木星に向かうことに

 

2.木星使節

少しずつ人間のような意志を持ち、混乱の中船員を次々に殺めていく「HAL9000

なんとか生き残ったは船長だけ。船員には知らされていなかった本当のミッションが発覚し、たった一人の船員を乗せて木星へと進む宇宙船。

 

3.木星 そして無限の宇宙の彼方へ

木星にたどり着くと同時に世界の理を一気に見せられた船長。

ようやく地上が見え、降立とうとするとすでに宇宙船は高級そうな豪邸に着陸していた。

またしても「モノリス」の導きによって宇宙の概念的存在となった船長は、「スターチャイルド」として地球に戻って来る。


 

 

 物語が賛否両論なワケ

この作品が「難解」と言われる理由についてですが、結論から言うと「説明が一切ない」からです。

当初は、きちんと各シーンに対し解説などが施されていたのですが、スタンリー・キューブリック監督が解説を挟むことにより映像美と、独特のミステリアスな雰囲気がなくなる、とか解説を入れることによりそれぞれの解釈で見てもらえなくなる可能性から全ての解説をカットされています。

 

というか、解説無しで3時間近くあるのに、解説を入れたらどれだけ長くなってしまうのか笑

 

難解とされたストーリー部分については公開とほぼ同時に発売された小説を読むことで解消されるようになっているようです。(もしくは解説サイトや動画を確認)

 

恐ろしいほど美しい映像

この映画の見所はなんといってもCG技術の全くないこの時代(1960年代)に現代でも十分通用するような美しい情景が多数見られること。

宇宙船、船内のデザイン、船外活動用ポッドなど現代で使用しても全く不自然でない物がたくさん出てきます。

SF好きにはワクワクが止まらない映画です。

 

なお、この映画に出てくる宇宙食NASAが実際に開発していたり、登場するコンピューターの設定や画面はIBMが協力をしていたりと、その時代の最先端をゆく企業が力を注いだこともあってよりリアルに、精巧な宇宙空間が演出されています。

 

 

驚愕ポイント

まず最初の20分、人間が一切出てきません。(言葉すら出てこない)

 

あれ、見る映画間違えたかな?と思ってもとりあえず30分耐えてください笑

最初はアフリカのようなシーンなのですが、監督が大の飛行機嫌いでアフリカに行くことができず、スタッフをアフリカに派遣して風景写真を撮って持ち帰らせ、わざわざ巨大なセットを作ってから映画の撮影を行ったとか笑

よく見て見ると確かに背景はスクリーンに映しているので若干ぼやけていたりします。

そこも踏まえて映像をチェックすると序盤20分も結構楽しいですよ!

 

SF~・・・SFはどこだ~・・・と禁断症状が出始めたあたりで、超有名なあの曲(ツァラトゥストラはかく語りき)が流れて、SF世界に移り変わります。

 

時代があまりにも一気に変わるので別の映画を見ている気分になると思います。

先ほども書きましたがここで登場する機械やインテリア、iPadのようなものまで現代にも通用するようなもので大変驚きました。

本人確認は声紋認証ってところも最近話題のSiriやアレクサなどを彷彿とさせますね。

 

宇宙船や船外活動で宇宙服とヘルメットを着用しているシーンではヘルメットの中で聞こえる船員の息遣いと、酸素ボンベから空気が送り込まれる音がBGMになっていて緊張感がダイレクトに伝わって来たり、宇宙のシーンでは「空気がない」という演出で無音になったり、かと思えば不穏な人の声(「うぅ〜」という声が何重にも重なったような声)や不協和音っぽい音楽?はやたらと音量が大きくて映像の美しさも相まって不安になったり。

気落ちしているときに見ると頭がおかしくなるかもしれないので気をつけて下さいね。

 

後半の木星にたどり着いた際の世界演出では、人間世界から高度な木星人世界の概念的なものを一気に見せられるシーンがあるのですが、BGMも合わさって若干PSの有名ゲーム「LSD」や「ゆめにっき」的な不気味さを感じさせます。

インターステラー」も似たような場面がありましたね。(5次元の世界に行く時の描写)

 

 

 

作品を見て感じたこと

自分の目を信じてとりあえず一回見るのがオススメ

この作品で出てくるHAL9000という宇宙船内蔵のAI(人工知能)がいるのですが、このAIが命じられた命令と実際の職務との間に起きる矛盾に苦悩し、混乱し、「死にたくない」という意志から人間にとって大変恐ろしい展開になる訳ですが、これは2018年に発売されたDetroit BecomeHumanにも通ずる切なさがあり、AIに対し同情を覚えました。

 

 また、人類は自らの能力で進化してきたのではなく、宇宙人(異星の生命体)によって強制的に進化させられてきた、宇宙人の繁栄の為に進化したという設定が本作でよく活かされており、宇宙人の存在は画として全く出てこないのにたまに出て来る「モノリス」という黒い物体だけでかなり大きな存在としてそこにいるという感覚が映像から伝わるというのが物凄い技術だと思いました。

 

この映画、まずは1回頭を空っぽにして見て欲しいです。

その上で「?????」となった頭を解説動画やWebページで補っていき、2周目の鑑賞で全部腑に落ちて「あ~!こういうことか」となって欲しいです。(絶対もう一度見たくなる。)

解説が必須の映画ではありますが、最初の視聴で受けた衝撃は、恐らく一生頭に残るでしょう。

 

どんな人に向いているか

SF好き、スタンリー・キューブリック好き、オカルト好き、美術好き、動画制作関係に興味がある方は3時間あっても見ていて苦にならないと思います。

無重力の表現、人工知能との会話シーン、宇宙生命体の表現は目を見張るものがありますよ!

 

 

監督の他の作品

スタンリー・キューブリック監督はかなり有名な映画をいくつか制作しています。

 


ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント 時計じかけのオレンジ 【DVD】

 

この題名は誰もが一度は聞いた事が有るのではないでしょうか。

私は内容の解説しか見ていないので実際の映像は未視聴なのですが、内容的には本能的に生きることと、理性的(社会に管理されている理性)に生きることの対比を描いている作品。

内容的には結構過激で風刺的なのですが、出て来る映像の印象が重たくないので見やすい作品のようです。

近々視聴したら感想を記載しますね。

 

2019/2/24

早速視聴したのですが、解説通り確かにグロテクスな表現や過度に性的な表現はありませんでした。

キューブリックらしい美しい映像に、人間の汚さが相まって大変コントラストの効いた社会風刺映画だと思いました。

結局、汚さで世界は回っているのだ、ということを痛烈に表現した作品。あとおっぱい映画。

 

 


【中古】 シャイニング 特別版 コンチネンタル・バージョン /スタンリー・キューブリック(監督),ジャック・ニコルソン,シェリー・デュヴァル 【中古】afb

 

レディープレイヤーワンにネタとして結構大きめの枠を使っていると聞いて見たのがこの作品。

人里離れたホテルの管理を冬の間受け持つことになった一家が、不気味なホテルでとんでもないことになる作品。

この猟奇的な写真は誰もが見た事のあるパッケージだと思います。

 

ホテルの薄気味悪さ、謎のキャラクター、だんだんと狂っていく主人公。

ここでも映像美は健在です。双子ちゃん可愛い。

 

 

この作品が見れるサイト

2001年宇宙の旅が見れるのはアマゾンプライムビデオとHuluです。

 

 

 

ネタバレありのYouTube解説動画

有名な映画だけあって解説動画も幾つかあるのですが、中でも私の気に入っているわかりやすい解説動画をご紹介しますので、もし気になったら見てみてくださいね。(長いのでお時間のある時にどうぞ)

 

 

守鍬 刈雄(すぐわ かるお)さん

この方は映像をそのまんま言葉にして解説してくれる方で、画面にメモをしながら話をするのですが、ラジオ感覚で音声だけ聞いていても十分面白いです。

ほかの作品では映画を一本観れてしまうほどボリュームのある解説もされているのですが、2001年宇宙の旅に関しては30分ほどの解説になっています。

投稿動画にはスタンリーキューブリックの他作品の解説や、手書き紙芝居解説などもあるのでよろしければ観てみてくださいね。

 

 

岡田斗司夫さん

ガイナックスの社長さん。豊富な知識をもとに色々な雑談を踏まえて解説を行ってくれる方です。

この動画では裏放送(ニコニコチャンネル会員限定動画/有料)でしか2001年宇宙の旅の詳しい解説が見れないのですが、他のキューブリック作品の解説はこのままユーチューブで観れるので気になったらぜひどうぞ。