【映画レビュー】美しいファーストコンタクト メッセージ(ARRIVAL) ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督
オススメ度:★★★★☆
ジャンル:SF
この作品を見たきっかけ
本当はずっと観たかったんだ!!忘れていたわけでは決してない!(焦)
公開当初からずっと見たいと思いつつ、映画を見るほどお金もなく、レンタル料すらケチっていた私。
ついにNetflixに公開されたので早速視聴。
SF、宇宙人とのコミュニケーション系であること、解説動画は先に見ていたので終始色々考えさせられながら見ることができた。
大まかな解説<ネタバレあり>
SFと言いつつもデザイン特化型のわかりやすい構成
地球の12箇所に突如UFOとともに現れた巨大な宇宙人と人間とのファーストコンタクトもの。
言語学者であるルイーズと論理物理学者のイアンの二人主人公で展開されるストーリーは、「本当に地球に宇宙人が来た時どうなるか」を各国の特徴を顕著に表した結構過激な政治的描写と、宇宙人「ヘプタポッド」との慎重ながら確実なコミュニケーションの確立という温度差をうまく表して絶妙なバランスを取っているように感じる。
何よりも本作では人間の持つ「時間」という概念が覆される作りになっており、通して見て初めて分かる伏線まみれの映画として新しい取り組みをしている。
ヘプタポッドの言語を理解することによって獲得できる「時間超越把握能力」と、覚醒し進化する人間を美しく描き出し、まさに「言葉は武器」と言える結果になってゆく。
彼らが与えてくれた能力は人間を次のステップへと進める材料だったのか、それとも宇宙人が地球人を今後利用するための仕掛けだったのか・・・
作品を見て感じたこと
時間を流れではなく全体として捉えているということをどうやって表現したか
時間の表現は5次元世界として「インターステラー」でもうまく表現されていたが、今回は映画の最初から最後まで差し込まれた「フラッシュバックのような映像」でさらにわかりやすくなっているように感じる。
過去の映像だと思っていたそれは、実は未来が見えていたものであり、未来で起こる出来事を「思い出し」目の前の危機を乗り越える。
またその映像の中では未来で授かる一人娘が出てきており、彼女も先天的に時間超越把握能力を保持している。
(能力を持ったものは遺伝子にまで影響し、その後の人類は皆能力を強力に受け継ぐ?)
そのため幼少期の彼女が、自身が生まれる前で起きたルイーズとイアンがヘプタポッドと会話している様子の絵を描いていたり、ヘプタポッドを粘土で作っている。
そもそもヘプタポッドは「3000年後に地球人の力を借りる必要があるから来た」ということらしい。
それは3000年後まで絶滅せず平和に過ごして欲しいから新しい能力を与えたのか、それとも能力を与えることで3000年後進化した人類がヘプタポッドにとって「都合の良い存在」となるためなのか、真意は分からず話は終わってしまう。
いづれにせよ新しい力を授かった地球人は今回の騒動で暴動が起きたり、株価が大暴落し一時は終末を迎える勢いだったのが一気に「世界平和」にまで至ったのだから宇宙人サマサマといったところである。
感情的な面で言えば、切なさの中に「決められた運命の中で強く生きていこう」という強い信念を感じ取ることができ、今までにない新しい映画だと思った。
科学的な詳細描写は少なく、何も考えずとも楽しめる本作だが量子もつれ、相対性理論、などなど科学的にSFが好きな人はもちろん、言語学という文系分野が好きな人にはもっと楽しめる作品だと思う。
どんな人に向いているか
SF好き/美しい風景や映像が好き/コミュニケーションが好き/恋愛物が好き/家族ものが好き/政治経済が好き
作品について
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
作品:ブレードランナー2049など
この作品が観れるのは
ネタバレありのYoutube解説動画
岡田斗司夫さん
岡田斗司夫ゼミ5月28日号「90%理解できる『メッセージ』の未来予知? いや、既来です。と表義文字が文字である理由~もう我慢できずに完全ネタバレ解説」
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